freeeとマネーフォワード、判断が分かれるのはどこか
この2つは、どちらかが明確に優れているという関係ではありません。同じ条件で比べれば近い結論になり、条件が変わると結論も変わります。ここでは「どちらが良いか」ではなく、自社のどの条件で結論がひっくり返るのかを整理します。
どちらを選ぶかが変わる条件
先に順番を確認しておきます。機能の一覧を眺めるより、次の条件に自社を当てはめたほうが早く決まります。とくに最初の1つは、他のすべてより優先されます。
顧問税理士がいるなら、そこが最優先
事務所が扱っていないソフトを選ぶと、毎月の資料のやり取りが手作業に戻ります。データを渡すたびに書き出しと取り込みが発生し、その手間は解消しません。ソフト単体の使い勝手より、この影響のほうがはるかに大きく効きます。まず事務所に「対応しているのはどれですか」と聞いてください。
逆に、税理士に依頼していない、あるいはこれから探すなら、この制約はありません。その場合は次の項目で判断します。
記帳の進め方が自分に合うか
簿記を学んだことがある人と、そうでない人とでは、使いやすいと感じる設計が違います。仕訳の形で直接入力したい人にとっては、質問に答えていく形式は遠回りに感じます。逆に簿記が分からない人には、仕訳の画面は最初の壁になります。
これは優劣ではなく相性です。そして相性は、機能の説明を読んでも分かりません。無料期間中に自社の実際の取引を入れてみるのが唯一の確かめ方です。
すでに使っているサービスとのつながり
給与計算や経費精算を同じ系列でそろえると、データの受け渡しの設定が減り、社員に覚えてもらう画面も1つで済みます。すでに片方の系列を使っているなら、それを揃えるのは合理的な理由になります。
ただし、そろえること自体が目的になると本末転倒です。会計ソフトを毎日触るのが自分ひとりなら、他のサービスとの関係は優先度を下げてかまいません。
試すときは同じ材料でそろえる
両方に無料で試せる期間があります。ここで差がつくのは、試し方をそろえたかどうかです。片方だけ丁寧に触ると、丁寧に触ったほうが良く見えます。
銀行とカードの連携は事前に一覧で確認する
どちらも金融機関との連携を持っていますが、対応している先は同じではありません。そして、機能の説明を読んでも自分の使っている銀行が入っているかは分かりません。契約の前に、対応する金融機関の一覧で自社の口座を探してください。
一覧に載っていても安心はできません。認証の方式によっては、追加の手続きが必要だったり、明細を取れる期間が限られていたりします。無料の期間中に実際につないでみるのがいちばん確実で、ここでつまずくなら他の機能を比べる意味はありません。
地方の信用金庫や、ネット専業ではない銀行を使っている場合はとくに確認してください。事業用の口座が連携できないと、明細を手で入れることになり、どちらの製品を選んでも入力の負担はほとんど変わらなくなります。
どちらもプランの段階で機能が変わる
比較の記事を読んでいると、どちらも同じことができるように見えます。実際には、その機能がどのプランに含まれるかが製品ごとに違います。入口のプランで比べて選んだあと、必要な機能が上のプランにしかないと分かる、というのがよくある食い違いです。
先に、自社に必要な機能を三つか四つ書き出してください。そのうえで、その全部が含まれる最も安いプランを製品ごとに調べます。比べるのはそのプランどうしです。入口のプランの金額だけを並べても、実際に払う金額の比較にはなりません。
料金は入口プランで比べる
金額は改定されます。この図は公式の料金ページを確認した日付つきで出していますが、契約前には必ず記事末尾の公式ページで最新を確認してください。
比べるときの注意が2つあります。1つは、年契約と月契約で月あたりの金額が変わること。公式ページで大きく出ている金額が年契約前提のことがあります。もう1つは、税抜き表示と税込み表示が製品によって違うことです。この図では同じ税基準どうしだけを並べています。
決められないときの決め方
両方を試して差が分からなかったなら、それはどちらでも大きな問題は起きないという結果です。その場合は、税理士の対応状況、次に自分が触っていて疲れなかったほう、の順で決めてください。時間をかけて悩んでも、その時間の分だけ記帳が遅れます。
途中で乗り換えるときに何が起きるか
どちらを選んでも、あとから他方に移ることはできます。ただし、そのまま全部が移るわけではありません。過去の仕訳は形式を合わせれば取り込めることが多い一方、銀行の連携設定や自動仕訳のルールは作り直しになります。学習した内容は引き継がれません。
そのため、乗り換えの前提で軽く決めるより、最初にある程度時間をかけて選ぶほうが結果的に楽です。とはいえ、選び直せないわけではないので、決まらないまま何か月も記帳が止まるほうが損失は大きくなります。
サポートの受け方を確認しておく
使い始めの時期は、必ず分からないことが出ます。そのときに、どういう形で聞けるかは製品とプランによって違います。画面から質問できるのか、電話が使えるのか、返答までどれくらいかかるのか。
簿記の知識がない人ほど、ここは効いてきます。調べれば分かることでも、探すのに時間がかかるからです。逆に、自分で調べて解決できる人なら、サポートの手厚さに費用を払う必要はありません。自分がどちらかを考えて、条件に入れるかどうかを決めてください。
決めたあとにやること
選んだら、最初に事業年度と消費税の扱いを確認してください。ここを初期設定のまま進めて記帳を重ねると、あとで直すときに影響が広い範囲に及びます。
次に、銀行とカードをつないで、直近の明細を取り込みます。ここまで済ませてから日々の記帳に入ると、最初の月から入力の負担が軽い状態で始められます。逆に、手入力で始めてしまうと、その方法に慣れてしまい、連携の設定をしないまま何か月も過ぎることがあります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
結局どちらが安いですか
入口プランの年額はこの記事の図で比べられます。ただし実際の負担は、使うプランの段階と契約期間で変わります。年契約と月契約で月あたりの金額が違う点も含め、最終的な金額は必ず公式の料金ページで確認してください。
あとから乗り換えられますか
会計データの引き継ぎには制約があります。何が引き継げて何が引き継げないかは、乗り換えの記事で整理しています。少なくとも、決算をまたぐ時期の乗り換えは避けたほうが作業が減ります。
税理士に相談してから決めたほうがいいですか
顧問税理士がいるなら先に聞いてください。事務所側が対応していないソフトを選ぶと、毎月のやり取りが手作業に戻ります。ソフトの機能差より、この影響のほうが大きく出ます。