介護事業所の勤怠 — 夜勤と変則シフトの記録
介護事業所の勤怠が難しいのは、勤務の種類が多く、そのうえ日付をまたぐことです。夜勤・早番・遅番が同じ月に混在し、人によって組み合わせも違う。この状態で表計算に頼ると、式が複雑になりすぎて誰も直せなくなります。
記録が崩れる場所
自事業所がどの条件に当てはまるかを先に確定させてください。当てはまる数が多いほど、手作業では持たなくなります。
日付をまたぐ勤務の集計
夜勤は日付が変わる時刻をまたぎます。ここで集計の仕様が製品によって違うことが、導入後に判明すると厄介です。始業した日に通しで付ける方式と、日付で区切って二日に分ける方式があり、給与計算に渡すときの形が変わります。
導入前に、実際の夜勤シフトを一か月ぶん入れて試算させてもらってください。カタログの機能一覧を読んでも、この違いは分かりません。
勤務区分の数を数えてから選ぶ
早番・日勤・遅番・夜勤・明け・公休。事業所によってはさらに細かく分かれます。登録できる勤務区分の数に上限がある製品では、足りなくなった時点で手作業が復活します。
あわせて、区分ごとに休憩の付与や割増の扱いを変えられるかも確認してください。ここが一律だと、結局あとから手で直すことになります。
シフトを作る人の負担から考える
介護事業所では、勤怠の記録そのものより、シフトを組む作業のほうが重いことがよくあります。資格や経験で入れる時間帯が決まっていて、休みの希望があり、夜勤の間隔にも配慮が要る。この条件を頭の中で組んでいる限り、組める人が事業所に一人しかいない状態が続きます。
勤怠の仕組みを選ぶときは、この作業が一緒に載るかを見てください。シフトと打刻が別々だと、予定と実績の突き合わせが毎月の手作業になります。逆に、シフトがほぼ固定で動かない事業所なら、この機能に費用を払う必要はありません。自分の事業所がどちらかを先に決めてください。
組む人が一人しかいない状態は、その人が休めないという問題でもあります。誰かが代われる形にしておくことは、記録の正確さとは別に、事業所として持っておきたい備えです。
仮眠と休憩の判断は先に決める
夜勤中の仮眠を労働時間に含めるかどうかは、呼び出しに応じる必要があるかなど、実態によって判断が分かれます。製品の設定で決まる話ではなく、事業所として運用を決めてから設定に落とす順番になります。
判断の考え方は記事末尾のガイドラインと条文にあたってください。決めた内容は文書に残し、職員にも説明しておくと、あとで認識の食い違いが起きません。
訪問系がある場合
訪問介護を併設しているなら、直行直帰と移動時間の扱いが加わります。事業所に寄らず利用者宅へ向かう日の始業をどこに置くか、移動をどう計上するかを決めてください。施設系とは必要な機能が変わるため、両方を一つの仕組みで賄えるかは事前の確認が要ります。
職員の入れ替わりを前提に運用を作る
入退職があるたびに登録と削除が発生します。この作業に管理者の承認や本部への申請が必要な仕組みだと、入職した人の打刻が最初の数日だけ紙になります。例外が一度できると、その人はそのまま紙で続けることが多く、記録が二本立てになります。
登録と削除を事業所の中で完結できるか、その場で確認してください。あわせて、退職した職員の記録が残るかどうかも見ておきます。削除すると過去の打刻まで消える仕組みだと、労働時間の記録として保存できません。
有給の管理を勤怠と切り離さない
変則的なシフトの事業所では、有給の日数の扱いが分かりにくくなります。所定の労働日数が人によって違い、時間単位で取得する運用があると、残日数の計算が手作業では追いつきません。
勤怠の記録と有給の管理が別々のファイルになっていると、職員から残りを聞かれたときに即答できず、そのたびに集計することになります。同じ仕組みの中で見られる形にしておくと、この問い合わせがほぼ消えます。付与のタイミングを職員ごとに設定できるかも、あわせて確認してください。
記録は行政の確認にも使う
介護の事業所では、労働時間の記録が人員配置の確認に使われる場面があります。実地の確認で求められたときに、必要な形ですぐ出せるかどうかは、日ごろの記録の取り方で決まります。
求められてから作り直すことはできません。職員ごと・日ごと・勤務区分ごとに出せる形で残しておいてください。表計算で管理していて、式が壊れたまま数か月が過ぎている状態が、いちばん危ない形です。
表計算から移るときに起きること
いま表計算で回している事業所が仕組みに移ると、最初の月に必ず数字が合いません。理由はほとんどの場合、表計算の側が間違っていたからです。式の参照がずれている、行を追加したときに範囲が広がっていない、丸め方が月によって違う。長く使っている表ほど、こうした傷が積み重なっています。
合わないと分かったとき、新しい仕組みを疑う前に、まず手で一人ぶんを計算してみてください。どちらが正しいかはそれで決まります。ここで表計算のほうを正としてしまうと、間違った数字に合わせるために新しい仕組みの設定を歪めることになります。
この作業は面倒ですが、一度やれば終わりです。そして、これまで職員に払っていた金額が正しかったかどうかを確認する機会でもあります。差が出た場合の扱いは、金額の大小にかかわらず先に方針を決めておいてください。
職員に説明するときの言い方
「管理を厳しくする」と受け取られた時点で、この取り組みは失敗します。夜勤の負担や取れていない休憩を数字にすることは、職員の側に立った話でもあるはずです。そこを最初に伝えてください。
そのうえで、記録が正確になった結果として何が変わるのかを具体的に言います。配置を見直す、手当の扱いを確認する、といった話です。何も変えないなら、職員にとっては手間が増えるだけの変更になります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
夜勤の仮眠時間はどう扱いますか
呼び出しに応じる必要があるかどうかで扱いが変わります。判断が分かれる典型なので、自社の運用を決める前に記事末尾のガイドラインを確認してください。
シフトの種類が多くても管理できますか
勤務区分をいくつまで登録できるか、区分ごとに休憩や割増の設定を変えられるかを確認してください。区分が足りないと結局手作業が残ります。
常勤換算の計算に使えますか
勤怠の集計をそのまま使えるとは限りません。必要な集計単位で出力できるかを、導入前に実際のシフトで試算して確かめてください。