インボイスの登録番号を請求書の運用にどう組み込むか
登録番号まわりの作業は、出す側と受け取る側で別々にあると整理すると分かりやすくなります。自社の番号を載せるのは一度の設定で終わりますが、受け取る側の作業は取引のたびに発生します。負担が大きいのは後者です。
2つの向きの作業がある
請求書ソフトの導入を検討するとき、出す側の話だけを見ていると判断を誤ります。受け取る側の作業をどう回すかまで含めて考えてください。
自社の番号を載せる作業は一度で終わる
請求書の書式に番号を固定で入れてしまえば、以降は自動的に載ります。手書きやその都度作る書類だと、載せ忘れが起きます。書式で担保するというのは、そういう意味です。
あわせて、税率ごとの区分など、必要な記載事項も書式の設計に組み込んでください。毎回の目視確認に頼る形は、枚数が増えると必ず抜けます。何が必要かは記事末尾の公式サイトで確認してください。
受け取る側の作業が本体
受け取った請求書が要件を満たしているかの確認は、受け取った側の作業です。取引先が多いほど、この確認の回数が増えます。
取引先の一覧に登録の有無を持たせる
もっとも効くのは、取引先の一覧に「登録があるかどうか」の欄を持たせることです。一度確認して記録しておけば、毎月の処理で調べ直す必要がなくなります。新しい取引先が増えたときだけ確認すればよくなります。
番号は国税庁の公表サイトで照会できます。取引を始めるときの手順に組み込んでおくと、あとから遡って確認する作業がなくなります。
どこまでソフトに任せるか
すべてをソフトに任せる必要はありません。件数と取引の形によって、手作業で残してよい範囲が変わります。
登録していない取引先の扱いを先に決める
取引先の中には、登録をしていない先が必ず含まれます。個人で請け負っている職人や、小規模な事業者に多く見られます。この場合、受け取った請求の処理が登録済みの先とは変わります。
困るのは、処理が変わること自体ではなく、毎月それを判断し直すことです。取引先の一覧に登録の有無を持たせておけば、判断は一度で済みます。持たせていないと、担当者が請求書を見るたびに番号の有無を確認し、記憶を頼りに処理を分けることになります。
それから、登録していないことを理由に取引条件を一方的に下げるのは避けてください。相手の登録は相手の判断で、そこに立ち入ると別の問題になります。処理の分岐は社内の話として整理し、取引の条件はそれとは分けて話し合ってください。
電子で受け取ったものは保存の要件が別にある
取引先から電子で請求書を受け取っている場合、その保存には紙とは別の要件があります。印刷して紙で保存すればよいという扱いにはなりません。ここは請求書を出す機能とは別の話なので、ソフトを選ぶときに混同しないでください。
受け取り方が複数ある会社では、経路ごとに保存の方法を決めておく必要があります。紙で届くもの、メールに添付されるもの、取引先の画面から取得するもの。それぞれ扱いが違うので、まず自社にどの経路があるかを洗い出してください。
番号の記載漏れは相手からは指摘されない
自社が出した請求書に必要な記載が欠けていても、受け取った側が気づかないまま処理されることがあります。あとから相手の側で問題になり、遡って再発行を求められる。これがいちばん面倒な形です。
再発行そのものは大きな作業ではありませんが、対象が一件で済むことはまずありません。同じ書式で出したすべての請求書が対象になり、しかも過去の分です。だからこそ、毎回の確認ではなく書式で担保する必要があります。書式を一度作ったら、一枚を印刷して記載事項と突き合わせる工程を挟んでください。
取引先から番号を聞くタイミング
新しい取引を始めるときに、他の情報とまとめて聞いてしまうのがいちばん摩擦がありません。振込先や担当者の連絡先を確認する場面で、一緒に番号も聞く。取引が始まってから改めて連絡すると、相手にとっては手間が増えるだけの依頼になります。
すでに取引のある先で番号を把握していないなら、一度にまとめて確認してください。少しずつ埋めようとすると、いつまでも一覧が完成せず、結局毎月の処理で調べることになります。
ソフトを入れても消えない作業
請求書ソフトを入れると、出す側の作業はかなり軽くなります。ただし、受け取った請求書の内容が正しいかを見る作業は残ります。金額が契約どおりか、数量が合っているか。これは制度の話ではなく取引の中身の確認なので、仕組みでは代われません。
導入を検討するときは、ここを分けて考えてください。「請求まわりが自動化される」と期待して入れると、残った確認の作業が不満として残ります。何がなくなって何が残るのかを先に把握しておけば、その落差は生まれません。
会計側とどこでつなぐか
請求書のデータを会計に流す連携を先に組みたくなりますが、順番としては後です。請求書の書式と発行の運用が固まっていない段階でつなぐと、書式を直すたびに会計側の設定も見ることになります。
先に決めるべきは、どの単位で会計に渡すかです。請求書の一枚ごとに渡すのか、月ごとにまとめて渡すのか。取引先が多い会社で一枚ずつ渡すと、会計側の仕訳が膨らんで見通しが悪くなります。逆に、まとめて渡すと入金の照合が請求書の単位でできなくなります。どちらが自社に合うかは、取引先の数と入金の確認の仕方で決まります。
連携を入れない判断もあります。月に数枚しか出さない会社なら、手で入力したほうが早く、設定を維持する手間もありません。件数が増えてから考えれば十分です。
連携を入れるなら、最初の一か月は会計側の数字を手で確認してください。自動で流れたものは、間違っていても目に触れません。一度確認して問題がなければ、以降は月次の残高の確認だけで足ります。
一次ソース(公式ページ)
制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。
よくある質問
取引先の登録番号は自社で確認する必要がありますか
受け取った請求書が要件を満たしているかは、受け取った側で確認することになります。国税庁の公表サイトで番号を照会できます。新しい取引先が増えたときの手順として決めておいてください。
登録していない取引先からの請求はどう扱いますか
扱いが変わるため、社内で処理を分ける必要があります。取引先の一覧に登録の有無を持たせておくと、毎回調べ直さずに済みます。
手書きの請求書でも要件を満たせますか
書式が決まっているわけではないため、必要な事項が記載されていれば形式は問われません。ただし記載漏れの確認を毎回することになるので、件数が増えると現実的ではなくなります。