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請求書を電子化しても郵送が残る取引先への対応

公開 2026-07-26 · 請求書発行

請求書の電子化でつまずくのは、社内の準備ではありません。取引先の都合です。全部を電子に統一しようとすると、応じない先が出た時点で計画が止まります。最初から二つの経路が残る前提で組んでください。

二つの経路を前提に設計する

取引先ごとの振り分け先方が電子での受け取りに応じますか? → はい: 電子の経路に載せます。送付方法を合意して記録に残してください。先方の指定するシステムがありますか? → はい: そこへの登録が必要です。自社の請求書ソフトとは別作業になります。紙でなければ受け取らないと言われましたか? → はい: 郵送の経路を残します。無理に統一しないでください。いずれにも当てはまらない場合: まだ確認していない取引先は、次の請求のタイミングで意向を聞いてください取引先ごとの振り分け先方が電子での受け取りに応じますか?はい電子の経路に載せます。送付方法を合意して記録に残してくださいいいえ先方の指定するシステムがありますか?はいそこへの登録が必要です。自社の請求書ソフトとは別作業になりますいいえ紙でなければ受け取らないと言われましたか?はい郵送の経路を残します。無理に統一しないでくださいいいえまだ確認していない取引先は、次の請求のタイミングで意向を聞いてください

取引先を三つに分けます。分け方が決まれば、必要な仕組みも決まります。

相手のシステムに合わせる先が一番重い

大手の取引先では、先方の購買システムに請求データを登録するよう求められることがあります。この場合、自社の請求書ソフトで作った請求書とは別の作業が発生します。件数が少なくても、担当者の手が取られる作業です。

請求書ソフトを選ぶときに、この作業は減りません。減らせるのは自社発行ぶんだけだと割り切って、期待値を合わせておいてください。

郵送を残すときに決めること

郵送の経路を残すなら、次を決めておくと運用が安定します。

取引先にどう切り出すか

電子化に応じてもらえるかどうかは、頼み方でかなり変わります。「経理の効率化のため」と自社の都合を前面に出すと、相手には手間が増える話にしか聞こえません。実際、受け取る側の作業は増えることも減ることもあります。

効くのは、相手の担当者の作業がどう変わるかを具体的に伝えることです。届くのが早くなる、紛失して再発行を頼む手間がなくなる、社内で回覧するときに転送で済む。こうした話であれば、担当者は自分ごととして判断できます。

それでも断られることはあります。理由が「社内の規程で紙と決まっている」であれば、担当者の一存では変えられません。粘っても関係が悪くなるだけなので、郵送の側に置いてください。断られた記録は残しておきます。相手の担当者が替わったときが、次の機会になります。

請求書番号と控えは経路で分けない

電子で出す先と郵送で出す先で番号の付け方を分けてしまうと、あとで自社の請求を通しで追えなくなります。番号は経路にかかわらず一つの並びで採番するのが原則です。

控えの保存も同じで、置き場所が二つに分かれると、月次の突き合わせのたびに両方を見ることになります。郵送する分も、送る前のデータは電子で残しておいてください。印刷したものを控えにすると、探すときに紙の束をめくることになります。

保存の要件は経路で変わる

電子で受け取った請求書は、電子のまま保存する必要があります。紙に印刷して保存する運用に戻すことはできません。自社が発行した控えについても、電子で送ったものと郵送したものでは扱いが変わります。

この部分は判断を間違えると後から直すのが大変です。保存の要件は記事末尾の国税庁のページで確認し、社内の運用として文書に残してください。

切り替えは取引先を絞って始める

全取引先を一度に切り替えようとしないでください。応じてくれる先から順に移し、郵送の件数が減ってきたところで代行サービスを検討する。この順番なら、途中で止まっても業務は回り続けます。

代行サービスを考える目安

郵送を外部に任せるサービスがあります。ただし、件数が少ないうちは自分で封入したほうが早いことも多く、導入するかどうかは件数と担当者の状況で決まります。

目安になるのは、印刷から投函までに毎月どれだけ時間がかかっているかです。一度、実際に計ってみてください。頭の中の見積もりは、たいてい実際より短く出ます。そのうえで、その時間を他に回したいかを判断します。

もう一つの判断材料は、担当者が一人かどうかです。封入する人が休んだ月に請求が止まるなら、それは時間の問題ではなくリスクの問題です。件数が少なくても、外に出す理由になります。

入金の確認は電子にしても軽くならない

請求書を電子で送ると、入金の確認まで楽になると期待されがちですが、そこは別の話です。入金は銀行の記録として届くもので、請求書の送り方とは関係がありません。振込名義が請求先の名称と違えば、電子で送っていても手で当てることになります。

電子化で本当に短くなるのは、発行から相手に届くまでの時間です。郵送だと到着まで日数がかかり、そのぶん支払いのサイクルが後ろにずれます。資金繰りの観点で効くのはここで、入金確認の手間ではありません。期待する効果を取り違えると、導入したあとに「思ったほど楽になっていない」という感想になります。

移行の途中でいちばん危ないところ

切り替えの最中に起きやすいのが、同じ請求を二重に出すことです。電子に移した先へ、これまでの習慣で郵送も出してしまう。相手が別々の請求と受け取れば、二重に払われるか、支払いが止まります。

防ぐには、取引先の一覧に経路の欄を持たせて、そこを唯一の判断材料にすることです。担当者の記憶に置かないでください。切り替えた月は、発行した一覧を経路ごとに並べて、重複がないかを目で確認する工程を一度だけ挟んでおくと安全です。

担当者が替わるときに崩れる

この運用でいちばん壊れやすいのは、経理の担当者が替わる瞬間です。どの取引先が電子で、どこが郵送なのか。誰の判断でそうなっているのか。引き継ぎの資料に書かれていないと、新しい担当者は前月の控えを見て推測することになります。

防ぎ方は単純で、経路の判断を人ではなく一覧に持たせることです。取引先の一覧に経路と、そうなっている理由(先方の規程・システム指定・未打診)まで書いておけば、引き継ぎはその一覧を渡すだけで済みます。理由まで残すのは、次の担当者が打診し直せるようにするためです。

もう一つ、引き継ぎで抜けやすいのが送付先です。請求書の宛名は本社でも、送る先は支店や経理センターという取引先があります。宛名と送付先が同じだと思い込んだまま処理すると、届かずに支払いが遅れます。一覧には両方を分けて持たせてください。

一次ソース(公式ページ)

制度・料金は改定されます。本記事は執筆時点の情報です。最新情報は必ず上記の公式ページでご確認ください。

よくある質問

取引先に電子化をお願いしても断られたらどうしますか

無理に統一しないでください。相手の経理体制の問題であることが多く、こちらの都合で押し切ると関係が悪くなります。二経路を維持する前提で仕組みを選んでください。

紙と電子が混在すると保存はどうなりますか

電子で受け取ったものは電子のまま保存する必要があります。紙で送った控えの扱いも含めて、保存方法を先に決めてください。要件は記事末尾の公式ページで確認できます。

郵送の代行サービスを使うべきですか

郵送する件数と、自社で封入する手間を比べて決めてください。件数が少ないうちは自社で足り、増えてきたら代行を検討する順番が無理がありません。